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「神奈川で新築アパートを建てるなら、どのエリアがいいのでしょうか」
不動産投資を検討されている方から、最も多くいただくご質問のひとつです。
ただ、この問いに「〇〇駅がおすすめです」と駅名だけで答えても、実際にはあまり役に立ちません。同じ駅、同じ町名でも、駅のどちら側か、坂の有無、用途地域、前面道路、土地の形によって、建てられる戸数も収支もまったく変わってしまうからです。
そこで今回は、神奈川だけでアパートを700棟以上建ててきた立場から、売りに出たら優先して検討したいエリアを5つ、駅のどちら側か、何丁目か、徒歩何分までかという範囲まで絞ってご紹介します。
数字は国土交通省が公表している2026年の地価公示と鑑定評価書がベースです。
はじめにお断りしておきたいのは、これから挙げるエリアなら何でも買い、という意味では決してないということです。
購入価格、駅からの距離、用途地域、地形、接道、建てられる戸数、そして売却時の出口。こうした条件が揃ったときに、他のエリアより優先して検討するという意味でご覧ください。
また、この順位は単純な地価上昇率ランキングではありません。上記の条件を総合して並べています。
対象範囲:旭町3丁目を中心に、駅から徒歩6分〜9分
本厚木の強みは、入居者の層が非常に広いことです。単身者、学生、法人契約、そして地元にお勤めの方まで幅広く、特定の需要だけに依存していません。
公示価格はこの1年で約6.5%上昇しています。駅周辺の再整備も進んでおり、鑑定評価でも地価は上昇傾向と予測されています。
一方で、駅から徒歩10分以内にアパートを建てられる土地はそもそも多くありません。需要の広さと駅近用地の希少性が、このエリアを支えています。
ただし、駅に近ければ何でも買ってよいわけではありません。人を集める力が強い分、土地価格も先に上がりやすいためです。人気だけを理由に高く買ってしまうと取得価格が重くなり、事業計画が苦しくなります。
鑑定評価では、およそ120平米から180平米で総額3,500万円から4,500万円が中心の価格帯です。この価格帯で6戸取れる整形地が出てきたら、その日のうちに事業計画を作ります。
入居者を集める力は強い。ただし高値掴みは厳禁。これが本厚木です。
対象範囲:古淵1丁目を中心に、駅から徒歩7分〜10分(JR横浜線)
知名度は決して高くありません。しかし、低いからこそ注目しています。人気への期待が土地の価格にまだ織り込まれすぎていないからです。
それでいて町田と相模大野に挟まれ、駅前には商業施設も揃っています。知名度が高くないにもかかわらず、地価は7.2%の上昇率です。
駅から徒歩10分以内の土地は、そもそもほとんど出てきません。町田や相模大野と比べれば土地の総額を抑えやすいため、この駅近の希少性が効いてきます。
さらに国の鑑定評価書にも、古淵駅の徒歩圏には賃貸需要が認められるという記載があります。30平米前後の2K、32平米の1DKや1LDKを4戸といった具体的なアパートまで想定されており、小規模アパートを計画しやすいエリアであることが分かります。
注意点もあります。古淵は駅名だけで入居者を引きつける場所ではありません。駅から離れた土地や、形の悪い土地まで追いかけないこと。古淵1丁目の駅徒歩10分以内に絞る必要があります。
土地の広さは120平米程度、総額3,000万円前後が標準的な価格帯です。町田や相模大野ほど総額が大きくなりにくいため、事業としても組みやすくなります。
対象範囲:仏向町の駅寄りの平坦なエリア、駅から徒歩5分〜8分(相鉄本線)
相鉄線で横浜に出やすく、都心直通も使えます。横浜勤務と都内勤務、両方の入居者を狙えて、それでいて横浜中心部よりも土地の価格を抑えられます。
地価は22万8,000円。今回ご紹介するエリアの中では土地単価が安めの分類に入ります。しかも駅から480mで実効容積率200%が使えます。つまり土地の単価を抑えながら戸数を確保しやすいのが強みです。
ただし、今回の5エリアの中で最も場所を絞る必要があります。
仏向町は高低差が大きく、坂や擁壁のある土地が非常に多いためです。狙うのはあくまで駅寄りの平坦な場所だけです。
駅から徒歩8分でも、坂を登るなら実際より遠く感じます。擁壁があれば工事費が上がり、建てられる規模が制限されることもあります。同じ町名でも収支はまったく別物になります。
横浜駅に近く、土地単価を抑えながら容積率200%も使える。土地の安さだけではなく、建てられる規模を確保しやすいことが評価の理由です。ただし駅寄りの平坦地に限定する。これが和田町・仏向町の見方です。
対象範囲:井土ヶ谷下町を中心に、駅から徒歩5分〜8分の平坦地(横浜市営地下鉄ブルーライン)
県外の方にはあまり知られていないエリアですが、投資用地としての条件の揃い方では圧倒的に勝ります。
横浜中心部への近さ、2駅2路線が使えること、平坦地であること、容積率200%。この4つが同時に揃うことが理由です。
駅まで500m、前面道路は6m。京急線の井土ヶ谷駅も歩けるため2駅2路線が使えます。横浜市内は坂が多く、駅に近い平坦地はそれだけで希少です。この範囲は平坦で道路幅もあり、容積率200%を使いやすい。立地がよいだけではなく、アパートの事業計画を組みやすい土地なのです。
なお、このエリアの地価上昇率は3.1%と、数字だけ見れば高くはありません。しかしここが、今回いちばんお伝えしたい点です。
不動産投資は地価の上昇率だけで判断するものではありません。賃貸需要、交通、平坦かどうか、容積、接道、そして出口まで総合的に見たうえで、その土地が割安なのか、賃貸需要があるのか、建物が建てやすいのかを判断します。そうして総合的に見ると、蒔田のエリアが2位になります。
130平米前後の整形地で平坦、容積率200%、前面道路やハザードにも問題がない。この条件で相場並みの売り情報が入ってきたら、その日のうちに資料を取り寄せて事業計画を作ります。それぐらい優先度は高い場所です。
対象範囲:大和市中央7丁目を中心に、駅から徒歩7分〜10分
地価上昇率は8.6%。今回の5エリアで最も高い数字で、地価の勢いはトップです。
大和は小田急線と相鉄線の2路線が使え、横浜、新宿、藤沢方面に出やすい立地です。さらに相鉄線の都心直通運転が開始したことで、駅徒歩圏の評価が大きく上がっています。地価は26万5,000円です。
「これからさらに高くなって、新築が建てにくくなるのでは」と思われるかもしれません。しかし大和については、まだ地価の上昇が見込め、少し出遅れていると考えています。
駅前再開発が活発に進んで一新されたこと、相鉄線の直通運転が始まったことに加えて、内陸部に位置していて平坦地であり、地盤もしっかりしているためハザードリスクも低いと考えられるからです。
加えて、大和市は神奈川県内で人口の伸びが3番目に大きい市です。地価が上昇していく一方で賃貸需要もしっかりある。この両立が大和の特徴です。
神奈川の人気エリアとしてよく挙がる海老名、中央林間、湘南台が入っていないことを不思議に思われたかもしれません。
これらが「買わないエリア」だからではありません。適正価格で土地の条件が揃い、事業計画が成立するのであれば、もちろん即検討します。駅そのものの力は、今回の5エリアより圧倒的に強い場所でもあります。
今回外した理由は、駅の強さや将来への期待が、すでに売却価格へ織り込まれているかどうかです。
人気駅は買い手が多く、土地の取得競争も激しくなります。木造アパート用地として欲しくても、マンション会社や住宅会社との価格競争になることがあります。駅名だけで判断すると、高値掴みになりやすいのです。
人気があることと、アパート投資に向いていることは分けて考える必要があります。見るべきなのは購入価格、駅距離、地形、容積率、接道、出口。駅名が強くても、事業計画が成立しなければ買ってはいけません。
今回ご紹介した5つのエリアを、あらためて整理します。
ただし、同じ駅・同じ町名だとしても、駅距離、道路の幅、坂、用途地域、土地の形、ハザード状況によって判断はまったく変わります。駅名ではなく土地の単位で見ることが重要です。
そして蒔田の例が示すとおり、地価上昇率が高い場所が最良の投資先とは限りません。賃貸需要、交通、地形、容積、接道、出口まで重ねて判断してはじめて、その土地が割安かどうかが見えてきます。
今回使用した地価公示や都市計画の情報は、どなたでも確認できるものです。大切なのは複数の情報を重ねて、購入価格、建てやすさ、そして出口まで判断すること。この見方を持ち帰っていただくほうが、エリア名だけを覚えるよりも役に立つはずです。
なお、本記事の地価や価格帯は2026年の地価公示および鑑定評価書に基づく動画公開時点の内容です。
土地の条件や市況は個別に異なり、時期によっても変わります。実際に購入を検討される際には、対象地ごとに建築可能な規模、建築費、融資条件を確認したうえで慎重にご判断ください。
私の不動産投資とお客機に対しての向き合い方は、物件購入がゴールでは無いということ。
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