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売上を6億円から105億円まで伸ばした建築会社が、ある日、連絡が取れなくなりました。
翌朝、社員は誰もいなかったそうです。進行中だった73棟の工事現場が一斉に止まりました。
着工前に支払われていた着手金は、戻ってきても数%ではないか。弁護士の見解として、そう報じられています。
どれだけ物件選びを完璧にやったとしても、建てる会社が倒産してしまえばお金は消えてしまいます。
今回は、危険な業者をどうやって見分けるのか、契約前にどこを確認すればいいのかを、神奈川でアパートを700棟建ててきた立場から、建てる側の内情も含めてお話しします。すでに契約されている方、建築中の方に向けて、倒産の前に現れる兆候も後半でお伝えします。
2026年上半期、建設業の倒産は1,043件。休廃業・解散まで合わせると5,937件にのぼります。リーマンショックの直後を超えて、上半期としては過去最多になりました。
仕事がなかったリーマンショックの時代よりも、仕事があるはずの現在のほうが、むしろ業界から消えている会社が多いということです。
内訳を見るとさらに厳しく、アパートや戸建てを建てる木造建築の会社に絞ると、倒産は前年から約9割増。ほぼ倍のペースです。
「潰れているのは小さな工務店では」と思われるかもしれませんが、実は逆です。
埼玉のRC施工会社の例。投資用のRCマンションを数多く施工していた会社で、売上は約6億5,000万円から2023年には約53億円まで、およそ8倍に伸びていました。その翌年の2024年に破産。最終的な負債は約51億円で、建築の途中で巻き込まれた投資家が多数いました。
冒頭の会社の例。売上は2015年に約6億3,500万円だったものが、2022年には約105億円にまで伸びています。ただ2022年4月期の決算では、現預金が約9億4,600万円あったにもかかわらず、月末の支払いを織り込むと手元に残るのは1億円を下回る水準でした。
帳簿の上ではお金があるように見えても、支払いを済ませるとほとんど残っていない。この状態で入金が少し遅れれば、資金は回らなくなります。2023年2月に破産し、約73棟の現場が一斉に止まりました。届出債権額は約50億3,700万円と報じられています。
この倒産ラッシュで最も大きな損をする可能性があるのは、建設会社の取引先でも銀行でもなく、これからアパートを建てる投資家です。倒産のタイミングによって、負う損害はまったく異なります。
契約は済んでいるが、まだ工事が始まっていない段階です。このタイミングで倒産されると、先に支払った手付金や着手金が戻ってこない可能性が出てきます。
今回、最も注意していただきたいのがこの段階です。被害の質が大きく変わります。
建物が完成していないので家賃は1円も入ってきません。しかし土地を先に決済してローンが実行されていれば、金利の支払いは毎月発生し続けます。その間は自分の手元資金から払い続けることになります。
さらに、途中まで他社が施工した建物について、新しく入る会社はその部分まで責任を負うことになります。引き継ぎ自体が簡単ではないということです。
着工中に倒産された場合に起こりうる負担は、大きく4つです。
加えて、元請けに支払ったお金が下請けに渡っていなければ、下請けとの追加交渉が発生する場合もあります。
会社が独自につけていた保証やアフターサービスは、実行が難しくなります。会社がなければ保証を実行しようがないためです。
過去にはアパートの階段が崩落する事故もありましたが、施工した会社はその後破産しています。同じ会社が建てた物件のオーナーは、点検や補修を誰に求めればいいのか分からなくなります。
建築の需要はなくなっていません。むしろ増えています。仕事がないから潰れているわけではない、ここが今回いちばん知っていただきたい点です。
仕組みはシンプルです。たとえば1億円の工事を受注しても、材料費も職人さんへの支払いも基本的には先に出ていきます。入金は工事が進んでから。この差を埋めるお金が必要になります。
加えて、資材の高騰、職人不足による人件費の上昇、工期の長期化。そしていちばん効いているのが、契約したときの金額は後から上げられないということです。着工までに資材が値上がりしても、その差額は会社が負うことになります。
2026年上半期の物価高による倒産は、建設業が151件で全業種のうち最多でした。業界全体で起きていることです。
見るべきなのは売上の規模ではなく、利益と資金繰りが健全かどうかです。とはいえ、投資家が取引先の資金繰りまで把握するのは現実的ではありません。完全には見抜けない前提で、危険な兆候を知っておくことが現実的な対策になります。
聞き方はシンプルです。「なぜこの金額でできるのですか」と聞いてみてください。
仕入れの方法や仕様の統一といった理由が明確であれば、それは企業努力の賜物です。逆に説明が曖昧で、何の理由も示されない場合は注意が必要かもしれません。
実績が少ないと技術面が心配、と思われがちですが、技術だけの話ではありません。見ていただきたいのは、資材と職人を安定して確保できる調達力と施工体制です。会社の調達力の差が、そのまま自分の損害になって返ってくる可能性があります。
確認は数字で行ってください。累計で何棟建てているのか。年間で何棟建てているのか。通常の工期は何ヶ月ぐらいか。最近、工事の遅延が起きていないか。今の受注量に対して施工体制が足りているのか。
大事なのは単純な実績の数ではなく、今抱えている案件に対して資材と職人を確保し、予定通り建てきれている体制があるかどうかです。
2009年に倒産した住宅会社では、着工前に総工費の70%を求めていたそうです。倒産の9日前に2,000万円以上を支払った施主もいたと報じられています。
結果として、引き渡されなかった住宅は1,282件。返金の見通しは最大でも約20%ほどでした。
前払いが大きい契約は、それだけで危険度が上がります。支払いごとに、その時点で工事がどこまで進んでいるのかを確認してください。着工前に半分以上を払う条件であれば、その理由を確認する必要があります。
入金を急かされたり、振り込み先の口座が急に変わったりするのも、危険なサインです。
建築実績が会社全体の調達力の話だとすれば、こちらはあなたの物件を実際に建てる現場の体制の話です。
営業だけが増えて、現場を管理する人が足りていない会社は工期が伸びます。工期が伸びれば、その損害はオーナーに返ってきます。
聞くことはシンプルです。現場監督は何人で、1人あたりどれぐらいの棟数を担当しているのか。自分の物件は実際にどの協力会社が施工するのか。
建設業の許可や行政処分歴は、国土交通省の検索システムでも確認できます。
大事なのは回答の中身だけではありません。数字で答えられるか、資料を出せるか、質問を嫌がっていないか。まともな会社であれば、聞かれて困る質問ではないはずです。
先に現実をお伝えすると、倒産は必ず予告があるわけではありません。先ほどの105億円の会社の例では、前日まで担当者と下請けが普通にやり取りをしていて、翌日に連絡が取れなくなったそうです。
兆候が出ていないから安全とは言い切れません。それでも、次のような事象が複数同時に出ているときは警戒材料になります。
担当者が変わっただけで倒産という話ではありません。1つ目や2つ目と同時に起きているかを見る必要があります。また、契約は取れているのに着工できないのは、資金か、動かせる職人が足りていない可能性があります。
気づいたときにまずしていただきたいのは、追加のお金をすぐに支払わないことです。前倒しの請求に応じると、戻らない可能性のあるお金が増えるだけです。
その上で記録を残してください。契約書、見積書、仕様書といった契約時の資料。支払い履歴。工程表と実際の進捗のずれ。日付入りの現場写真。やり取りのメールやチャット。倒産してから集めようとしても、もう現場には入れないかもしれません。
兆候が重なっていると感じたら、その資料を持って第三者に相談してください。1人で判断しないことが大切です。
進んだ分だけ払う。記録を取る。書面を残す。この3つを守ってください。
どれだけいい物件を選んでも、建てる会社が倒れてしまえば、その利回りは1円も入ってきません。
利回りや価格だけでなく、その物件を建てる会社と、契約の内容まで見て投資判断をする。これが今の市況で欠かせない視点です。
なお、本記事で紹介した件数や金額は、公表された統計および報道をもとにした動画公開時点の内容です。
個別の会社の経営状況を判断するものではなく、また記載した確認方法によって倒産を必ず回避できることを保証するものでもありません。実際のご契約にあたっては、契約書の内容を確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
私の不動産投資とお客機に対しての向き合い方は、物件購入がゴールでは無いということ。
お客様のご資産背景等により最適な物件は異なりますので、メリット・デメリットをしっかりお伝えして、最適のご提案をさせて頂きます。土地仕入→建築→販売→賃貸仲介→管理の一貫体制だからこそ、実現できる安定した不動産経営をご提案させて頂きます。