「大和ハウスが地方から撤退するというニュースを見ました。
これ、不動産投資に影響はあるのでしょうか」
影響はあります。
ただ、注目すべきは「大手が地方から撤退した」という事実そのものではありません。
同社がエリアごとの着工数・価格競争力・将来的な市場ボリュームまで見て、経営資源をどこに集中するかを判断した。
この考え方のほうが、投資家にとってはるかに重要です。
アパート投資も、今の利回りだけでなく、10年後20年後も賃貸需要と売却需要が残っている場所かを見ないといけないからです。
今回は、このニュースをヒントに「これからどこを、どう買うべきなのか」を数字で整理します。
約700棟のアパート投資に関わってきた経験と、実際のご相談現場で見ている数字をもとにお話しします。
本記事では、大和ハウス工業株式会社の事業再編について、同社が2026年9月4日に公表したニュースリリース「国内住宅事業の成長加速に向けた事業体制の再編・強化について」の内容のみを事実として記載しています。
報道では「23道県から撤退」と伝えられていますが、同社の発表で使われている表現は「新築戸建住宅事業における展開エリアの最適化」です。
本記事は同社の見解を代弁するものではありません。
目次
まず、ニュースの中身を正確に押さえます。
報道では「23道県から撤退」という見出しが並びましたが、同社が公表したリリースに「撤退」という言葉は出てきません。
発表されている内容は、次のとおりです。
報道の「23道県」と、発表の「23エリア」。
同じ数字が出てきますが、指しているものが逆です。
発表の23は、これから展開する側のエリア数です。
数字を引用するときは、どちらの話をしているのか注意が必要です。
ここも誤解されやすいところです。
今回対象になっているのは新築戸建住宅事業です。
一方で、既存の住まいを扱う事業はむしろ強化される方向で発表されています。
つまり「地方に人がいなくなる」という話ではありません。
これから新築住宅を供給し続けても市場規模が見込める場所なのかを、かなり細かく選別し始めているということです。
ここが投資家にとっての本題になります。
リリースでは、エリアの選び方がはっきり書かれています。
この3つを分析したうえで、需要が堅調な都市圏に経営資源を重点配置する、としています。
背景としても、都市圏では人口流入や住宅価格の上昇がある一方、地域によっては住宅需要の縮小が進んでいると説明されています。
国内最大手クラスの住宅会社が、将来の市場規模まで見て展開する場所を選別した。
これは投資家にとっても重要なニュースです。
アパートを買うという行為も、結局は同じ判断をしているからです。
「日本の人口が減っている」はよく聞く話です。
では、どれぐらい減るのか。
国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口(令和5年推計)で、2020年の人口を100としたとき、2050年に9割以上を維持できる都道府県を数えると、こうなります。
この5都県だけです。
増加が見込まれているのは東京都のみです。
「名古屋や大阪は維持されないのですか」とよく聞かれますが、大都市を抱える府県でも9割を切ってきます。
さらにそれ以外の多くの道県では、8割を下回る見通しです。
住宅会社が「将来の市場ボリュームを見る」と言っているのは、まさにこういうことだと考えています。
1つ目は需要です。
住宅会社は、建てた住宅を買ってくれる人がいれば、そこで一度売上が立ちます。
アパートのオーナーは違います。
退去が出るたびに、次の入居者を入れ続けなければいけません。
人口や世帯が減って賃貸需要まで弱くなっていく地域では、「今入っているから大丈夫」では全く足りません。
10年後も次の入居者がいるかを見極める必要があります。
2つ目はコストです。
住宅会社なら、採算が合わなくなった地域で新しく建てることをやめられます。
オーナーは一度物件を購入すると、いきなり終わることはできません。
外壁や屋根、設備交換など、保有している限り修繕費はかさんでいきます。
資材費や人件費が上がれば修繕費も上がりますが、賃貸需要が弱い地域では、その上昇分を家賃に転嫁しにくいケースが出てきます。
3つ目は出口です。
アパート投資は、買った瞬間の利回りだけでは完結しません。
10年後20年後にいくらで売却できるのか、そこまで含めたトータルの収支で見るものです。
仮に購入時に表面利回りが10%あったとしても、将来その地域で物件を買いたい人が減ったり、金融機関からの融資がつきにくくなると、売却できる相手は限られてしまいます。
4つ目が、今回のニュースからいちばん学べるところです。
将来も市場規模が見込める場所に資源を集中する。
誤解しないでいただきたいのですが、地方だからダメ、ということではありません。
今の利回りだけではなく、この場所に10年後も市場がちゃんとあるのかを見ていく。
融資を使って長期間保有する投資家ほど、重要な考え方です。
「将来も需要がある場所なら、結局は東京を買えばいいのでは」。
当然の疑問だと思います。
東京は、賃貸需要や不動産の流動性という意味では群を抜いて強いです。
ただしその強さは、どうしても価格にも反映されます。
つまり、誰が何をどういう目的で買うのかで答えが変わります。
大きく2つに分かれます。
同じ「いい物件」という言葉でも、意味が違うということです。
数字で見ます。
1億円の物件を金利2.4%・35年のフルローンで購入した場合、年間返済は約423万円。
ここに運営費と固定資産税・都市計画税などの経費を17%で見ます。
4.5%と6.5%の比較で、約166万円の差になります。
さらにこの状態で金利が上がったり、空室や修繕が出てくると、赤字はさらに膨らみます。
資産価値が高い物件と、融資で買って手残りを作りやすい物件は、まったく同じではありません。
探したいのは需要が強いのに、東京ほど価格にプレミアムが乗っていない場所です。
首都圏で考えると、候補の1つとして神奈川が挙がります。
もちろん神奈川だから全部いい、という話では全くありません。
まず県全体のデータを見ます。
神奈川県が公表した令和8年地価調査の結果では、こうなっています。
注意していただきたいのは、これは賃貸需要そのものを証明する数字ではないということです。
ただし県内の広い範囲で土地需要が続いていることは分かります。
さらに神奈川は、東京への通勤需要だけではありません。
横浜・川崎にも大きな雇用と商業の集積があります。
東京方面へのアクセスと、神奈川県内の需要。この両方で見ることができます。
「神奈川も人気の場所は高いのでは」。
そのとおりです。
だからこそ人気の場所そのものではなく、1駅や2駅ずらして企画した方がいいと考えています。
当社が企画するなかで見ていると、エリアによっては人気駅から1駅ずらすと土地の価格が2割から3割下がるのに、募集賃料の差はそれほど大きくない場所があります。
土地価格の下がり方より、賃料の下がり方の方が小さい。
この差が、利回りを作る余地になります。
その候補の1つが神奈川だということです。
ここまで神奈川の話をしてきましたが、県全体の平均地価が上がっているからといって、全ての駅、全ての物件が安全というわけでは全くありません。
実際に見るべきなのは、この粒度です。
重要なのは「この駅の、この距離の、この物件に、10年後も需要が残っているか」。
ここが一番大事です。
今回のニュースから投資家が学ぶべきなのは、地方撤退そのものではなく、将来の市場規模まで見て買う場所を選別するという考え方だと私は思います。
自己資金を厚く入れて資産性を重視するなら都心を選ぶ考え方もありますし、融資を使ってキャッシュフローを残しながら資産を増やすなら、需要は強いけれど価格は高すぎない場所を探す必要があります。
そうすると次は「自分は神奈川のどこを、いくらで買えばいいのか」が問題になります。
ただ、ここはネット検索だけでは分からない情報が2つあります。
1つは物件。
条件のいい物件ほど、一般のポータルサイトに出る前に相手が決まることが多々あります。
もう1つは融資。
ご自身の年収や金融資産、既存の借入によって、使える金融機関や買える価格が変わります。
まず無料会員登録をしていただくと、神奈川の新築アパートの価格・想定家賃・利回りを見ながら、自分ならどれぐらいの融資を受けられそうなのか、自己資金がどれぐらい必要なのかの目安を確認できます。まだ買うと決めていなくても大丈夫です。
その上で、どのエリア・どの価格帯を狙うべきか具体的に整理したい方は、次のステップとして無料の投資相談をご利用ください。
年収・金融資産・借入状況を見ながら、本記事の1億円の計算をあなたの条件に置き換えて、金利が上がっても手残りを残せるかまで一緒に確認します。
強引な勧誘は一切ありません。
なお、本記事に記載した大和ハウス工業株式会社の事業再編の内容は、同社が2026年9月4日に公表したニュースリリースに基づくものです。
人口の推計は国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」、地価は神奈川県「令和8年地価調査結果」によります。
また利回りの比較はあくまでモデルケースであり、実際の収支は物件・金融機関・ご自身の属性によって異なります。
収益を保証するものではありませんので、個別の条件をご確認のうえ慎重にご判断ください。
私の不動産投資とお客機に対しての向き合い方は、物件購入がゴールでは無いということ。
お客様のご資産背景等により最適な物件は異なりますので、メリット・デメリットをしっかりお伝えして、最適のご提案をさせて頂きます。土地仕入→建築→販売→賃貸仲介→管理の一貫体制だからこそ、実現できる安定した不動産経営をご提案させて頂きます。