「物件を選ぶときは、エリア・利回り・築年数・融資条件を見ています。他に見るべきところはありますか」
視聴者の方からいただいたご質問です。
挙げていただいた項目は、どれも大事です。
ただ、お答えする前に一度思い出してみてください。最後に物件資料を見たとき、設備欄をじっくり読みましたか。
エリアと利回りは全員が必死に見ます。
ところが設備の表は、ほとんどの方が流し読みにしています。
今回の落とし穴はここにあります。
設備の違いだけで、10年20年30年と保有する間に数百万円、物件によっては1,000万円単位の差になります。
しかも今日お話しする5つの中には、「これがついていたら当たり物件」と思われている定番の設備も入っています。
700棟以上を建ててきた経験から、設備表で必ず確認してほしいものをお伝えします。
目次
電気でお湯を沸かして、大きなタンクに貯めておく給湯設備です。
ガスを引いていない物件で、ガス給湯器の代わりについています。
入居者からすればお湯が出ることに変わりはないので、内見で気にする人はまずいません。
問題は、買った10年後15年後です。
ある日、管理会社から電話が鳴ります。
「103号室でお湯が出なくなりました。電気温水器の交換で50万円ほどかかります」。
ガス給湯器であれば、追い焚きの有無にもよりますが10万円から20万円で済む交換です。
1回だけなら耐えられます。
ただ、これは各部屋で起きます。
翌月は201号室、その次はまた別の部屋。
新築のときに全部屋同じ日に設置されているので、壊れる時期も揃ってくるケースがあります。
10戸なら数年のうちに総額500万円程度が消えていきます。
年間の手残りが150万円の物件であれば、利益3年分がお湯のために消える計算です。
これは買う前に気づけます。
資料の設備欄に「給湯:電気温水器」と1行書いてあります。
先ほど流し読みにした、あの欄です。
水道の水圧だけでは上の階まで水が届かない建物で、ポンプの力で押し上げる設備です。
3階建て以上の物件などで必要になるケースがあります。
ここで大事なのは、この設備が要らない建物もあるということです。
たとえば2階建てのアパートなら、水道の圧力だけで最上階まで水が届きます。
同じように蛇口をひねれば水が出ますが、機械を挟んで実現している建物と、機械なしの建物がある。
入居者から見れば全く同じで、オーナーの負担だけが変わります。
電気温水器は「103号室のお湯が出ません」でした。
増圧ポンプの電話は「建物全体で水が出ません」です。
全戸一斉で、トイレもお風呂も止まります。
ですので「修理は来月に」が許されません。
金額もタイミングも、こちらに選択権がないということです。
増圧ポンプそのものが悪いわけではありません。
見るべきは「この建物は機械に頼らないと成立しない設計なのか」です。
同じエリア、同じ利回りなら、機械が少ない建物のほうがメンテナンス費用は減ります。
10年後20年後の手残りも、当然残りやすくなります。
ここで、当たり設備だと思われているものが出てきます。
床暖房が入居者に喜ばれるのは間違いありません。
ただ「嬉しい」ことと「その分の家賃を払う」ことは別です。
入居者アンケートでも、床暖房を「次も絶対に欲しい」と答えた単身者の方でさえ、家賃の上乗せ許容額はせいぜい月1,000円から1,500円程度という結果が出ています。
絶対に欲しい人でも、その程度なのです。
一方で、温水式であれば熱源機など更新する設備が増えます。
床暖房そのものが壊れやすいわけではありませんが、万が一、床側に不具合が出れば床材まで交換するような大がかりな工事になる可能性があります。
しかも冬の快適性は、今はエアコンや断熱性能を高める方法でもある程度は作れます。
「あると嬉しい設備」と「オーナーがお金をかける価値のある設備」は、全く別です。
床暖房はその代表例の1つだと考えています。
下水道が来ていない土地で、トイレやお風呂の排水を敷地の中で処理してから流す設備です。
下水道が来ている土地(本下水)なら、この設備自体がそもそも要りません。
ここも「要らない建物がある」パターンです。
入居者はまず気づきません。トイレは普通に流れます。
ただ、ここまでの3つと決定的に違う点があります。
壊れなくてもお金がかかるということです。
浄化槽は法律で定期的な点検と清掃が義務付けられています。
これまでの設備は「壊れたときに連絡が来てお金が発生する」でしたが、浄化槽は毎年ランニングコストが発生します。
公共下水の物件なら、この数百万円はかかりません。
同じ家賃、同じ表面利回りでも手残りが変わってくるのは、こういうところです。
面白いのは、これが設備の話に見えて、実は土地の話でもあることです。
浄化槽かどうかは、その土地に下水道が来ているかで決まります。
物件を見るときは、設備表と一緒に「本下水なのか、浄化槽なのか」の1行を必ず確認してください。
当たり設備だと思われているものの2つ目が、これです。
便利ですし高級感も出ますので、入居付けがしやすい面はあります。
ただ、ここまで読まれた方なら、もう聞くべき質問が分かるはずです。この設備、いくらかかるのか。
保守点検にはフルメンテナンス契約やスポットのPOG契約など種類がありますが、いずれにせよ浄化槽と同じで毎年確実に請求書が来ます。
年間の手残りが200万円の物件だとしたら、どうでしょうか。
更新の1,000万円だけで利益5年分です。
5年間、何のために大家をやっていたのか分からなくなってしまいます。
さらにその上をいくのが機械式駐車場です。
大規模な部品交換だけで2,000万円規模になった例もあります。
5つすべてで、同じ質問をしてきました。
「この設備で家賃を上げられますか」です。
答えを並べてみます。
つまり負担だけが増えて、収入側には返ってこない。
これが5つに共通する構造です。
だからこそ、設備は新築時の値段ではなく、20年間保有したときの総額で見る必要があります。
「豪華だし、ついていたらいいよな」という感覚だけでは決まりません。
維持費と更新費を上回るメリットが得られるのか。
ここまで計算して、初めてその設備の合否が決まります。
補足しておくと、木造アパートの新築や築浅の物件では、今回お伝えした設備はあまり出てこないケースが多いです。
ただし地方のエリアではまだ公共下水が来ていないところもあり、注意が必要です。
そして「新築だと利回りが出ないから中古を買う」という場合に、今回の設備が入ってくるケースがあります。
新築と中古では、見るところが変わります。
ここまで見たうえで手残りを計算する必要があります。
最後に。
不動産投資に興味はあるけれど失敗が怖い、何から手をつければいいか分からない。
そこで止まっている方は多いと思います。
それは慎重なだけで、正しい感覚です。
ただ、全部をご自身で見抜く必要はありません。
設備もエリアも収支も1人で判断しようとするから、収拾がつかなくなって怖くなります。
購入する前であれば、いくらでも選択肢から選べます。
買った後に「この物件、こんなデメリットがありましたよ」となるより、ずっといいはずです。
今ご検討中の物件がある方は、その資料をお持ちいただければ、今日の視点も含めて一緒に確認いたします。
他社様の物件でも構いません。
まだ何も決まっていない段階でも、むしろその段階がいちばんいいタイミングです。
強引な勧誘は一切ありません。
なお、本記事の金額はいずれも一般的な目安であり、実際の費用は機種・規模・契約内容・地域によって異なります。
記載の内容は収益や維持費を保証するものではありません。
実際のご検討にあたっては、個別の見積もりや管理会社への確認など、具体的な条件をご確認のうえ慎重にご判断ください。
私の不動産投資とお客機に対しての向き合い方は、物件購入がゴールでは無いということ。
お客様のご資産背景等により最適な物件は異なりますので、メリット・デメリットをしっかりお伝えして、最適のご提案をさせて頂きます。土地仕入→建築→販売→賃貸仲介→管理の一貫体制だからこそ、実現できる安定した不動産経営をご提案させて頂きます。