「2027年1月から賃貸不動産の相続税評価が変わると聞きました。アパートを買って相続税を下げる、ができなくなるという話も聞いています」
「できなくなる」は少し言いすぎです。
ただ、今までと同じ前提で動くと節税効果が半分になるケースは出ます。
そして「2027年より前に買っておけば大丈夫」と思っている方も多いのですが、それも危ないのです。
このからくりが今回の改正でいちばんの落とし穴になります。
今回は、2027年1月から何がどう変わるのかを1億円のアパートの数字で確認したうえで、影響を受ける方を5つのケースで整理します。
ご資産が1億円を超えていて、ご自身かご両親の相続を考えている方に向けた内容です。
本記事は動画の内容をもとにした一般的な解説です。
改正の細かい条件は今後の法整備で確定する部分があり、個別の判断は税額に直結します。
実際のご検討にあたっては、必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。
目次
変わる内容そのものは、一言で言えばこうです。
2027年1月以降の相続では、亡くなる前5年以内に取得した賃貸アパートは、相続税の計算で安く評価してもらえなくなる。
そもそも、なぜこれまで安く評価されていたのか。
賃貸アパートの評価が低く計算される仕組みがあったからです。
これが「アパートを買うと相続税が下がる」と言われてきた仕組みです。
今回の改正は、この計算方法を変えるものです。
2027年1月1日以後の相続や贈与で、5年以内に売買または新築で取得した貸付用の不動産は、この計算を使わず時価に近い金額で評価されることになります。
実務上は「買った値段をもとに地価の変動を考慮した金額の約8割」と示されています。
数字で見ると分かりやすくなります。
これが今回の改正の正体です。
ただし不動産が相続対策にならなくなる、という話ではありません。
効かなくなるのは相続の直前に購入して評価の差だけを取りに行くやり方です。
それが誰に当てはまるのかを、5つのケースで見ていきます。
ご相談でいちばん多い誤解です。
実際に今、駆け込みで探している方が非常に増えています。
「改正は2027年からなのだから、2026年までに買えば古いルールが適用されるのでは」。
そうではありません。
ルールが切り替わるのは「いつ買ったか」ではなく「いつ相続が起きたか」です。
つまり2026年に買った物件は、2031年までは新ルールで評価されることになります。
2027年以降に相続が起きたとき、そこから遡って5年以内に取得していれば対象になる、という設計だからです。
今回の改正は駆け込みがいちばん効かない設計になっています。
見るべきは改正の日付ではなく、相続までに5年以上あるかどうか。
これが以降すべてのケースに共通する物差しになります。
なお、ご自身のケースが対象になるかどうかは必ず税理士にご確認ください。
80代のご両親の名義で、現金1億円と株式1億円を一気にアパートへ組み換える。
これまでは通用したやり方です。
ただしこれは典型的な「直前の大規模な組み換え」で、5年以内に相続が起きれば圧縮効果は半分になってしまいます。
ですので今後は、高齢になってから相続対策を始めるのではなく、早い段階で金融資産と不動産をどういう割合で持つかを設計しておく必要があります。
そしてこれは、ご両親だけの話ではありません。
今40代50代の方が、お子さんに資産を渡す側になったときも同じです。
「中古を買うのではなく自分で新築すれば、5年ルールは関係ないのでは」。
こう考える方も実は多いのですが、今回の改正では売買で買った物件だけでなく、新築した物件も対象に入りました。
土地を買ってそこにアパートを建てても、相続まで5年以内なら同じルールが適用されます。
ただし昔から持っている土地の場合は違いがあります。
5年以上前から保有している土地に新築した建物などについては経過措置が示されています。
ただしその細かい条件は今後の法整備で決まる部分ですので、ここは必ず税理士にご確認ください。
富裕層の方の相続対策では、一棟ではなく不動産を小口にした商品を買って評価を下げる方法がありました。
これも今回の改正に入りました。
しかも一棟アパートよりも厳しい扱いになっています。
一定の小口化商品については、いつ買ったかに関係なく時価で評価される方向とされています。
つまり5年ルールですらない、ということです。
ここが、今回いちばんお伝えしたいところです。
評価を4,000万円圧縮できるのであれば、多少利回りが低くても、空室があっても、トータルで見れば得でした。
節税が物件の弱さを埋めていたわけです。
その埋めていた部分がなくなるケースが出てきます。
ですので、こういう点を見る必要があります。
本質的に弱い物件は、ただの悪い物件になります。
ですから今後の判断はこうなります。
「相続税が下がるから買う」ではなく、「相続税対策にもなって、持っている間も利益がしっかり出て、最後に資産として残るから買う」。
この順番で選べる物件だけが、2027年以降も相続対策として機能します。
ここまで読むと「不動産で相続対策をする時代は終わったのでは」と聞こえるかもしれません。
まだ有効です。
見直されるのは、あくまで相続の直前に購入して評価の差だけを取る方法です。
裏を返せば、5年以上前から持っている物件は従来どおりの評価で見られる見通しということになります。
つまり今回の改正は、時間を味方につけた人だけが得をする設計になっています。
そして早く持てば、評価の話だけでは終わりません。
持っている10年間、しっかり家賃を受け取ることができます。
相続対策は「直前の節税テクニック」から「10年単位の資産承継」へ。
これが今回の改正の本当の意味だと考えています。
だからこそ、40代50代の方にとってもご自身の話なのです。
1.相続財産を全部見える化する
現金、株式、自宅、収益不動産、会社の株式、保険、そして借入。
全部を並べて、今相続が起きた場合に税金がいくらになるのかを把握します。
これがないと対策の話が何も始まりません。
2.現金のまま持つ場合とアパートに組み換えた場合を比較する
ただし相続税評価だけで比べないでください。
家賃収入、借入、年間の手残り、10年後の残債、将来の売却価格まで並べて比較します。
相続税がいくら下がるかだけで判断すると、収益の弱い物件を掴んでしまうことがあります。
3.相続までの時間から逆算する
ご両親が60代なのか、70代80代なのかで取れる手はまったく変わります。
5年ルールがある以上、「いつか考える」がいちばん損をします。
ご自身については、10年後を見据えて今から始めておくことが有利に働きます。
この3つは順番にやれば1ヶ月で終わります。
ただ2つ目の比較だけは、ご自身では数字を出しにくいかと思います。
そこは私たちの出番です。
相続対策にはパッケージがなく、10人いれば10通りです。
年齢も資産もご家族の状況も違いますので、「全員これをやればいい」という答えはありません。
直近でも、61歳のお客様から、お父様が金融資産約1億2,000万円をお持ちでお子さんが3人という状況でご相談をいただきました。
このケースではお子さんごとに法人を設立し、各資産管理法人の代表にお子様に就いていただき、お父様側の現金を自己資金として活用しながら収益用不動産を持つ形を進めています。
現金のまま残すのではなく不動産に組み換えることで評価を抑えつつ、保有中は家賃収入も生まれ、将来的にお子さんへ資産として残していくことができます。
今回の改正でいちばん大きいのは、昔よりも時間に余裕がなくなったことです。
5年というルールがある以上、相続が近くなってから考え始めると、取れる選択肢が一気に狭まります。
「相続対策をしたほうがいいのは分かるけれど、何からすればいいか分からない」「不動産をやるべきなのか、現金や株のままでいいのか分からない」。
そういう方は、一度無料相談にお越しください。
今お持ちのご資産とご家族の状況を整理したうえで、不動産を使う方法が合うのかどうかを一緒に考えます。
まだ不動産を買うと決めていなくても構いません。
むしろ選択肢が多いうちに、早めに一度整理しておくことをおすすめします。
なお、本記事は動画の内容をもとにした一般的な解説であり、個別の税務判断を行うものではありません。
改正の細かい条件は今後の法整備で確定する部分があり、また相続税の取り扱いは資産の構成・取得時期・ご家族の状況によって異なります。
税務については必ず税理士または所轄の税務署にご確認ください。
弊社では不動産を使った資産承継について、具体的な物件まで含めてご相談を承ります。
私の不動産投資とお客機に対しての向き合い方は、物件購入がゴールでは無いということ。
お客様のご資産背景等により最適な物件は異なりますので、メリット・デメリットをしっかりお伝えして、最適のご提案をさせて頂きます。土地仕入→建築→販売→賃貸仲介→管理の一貫体制だからこそ、実現できる安定した不動産経営をご提案させて頂きます。