恐ろしい鉱物(アスベスト)【更新】 | 神奈川の不動産投資、新築アパート経営は横濱コーポレーション

  • 恐ろしい鉱物(アスベスト)

    こんにちは、賃貸管理部の秀島です。
     前回は、地理情報システムについてご紹介しました🌎
    位置を知るとどのように便利になるか、日常からビジネスまで広い範囲でご紹介できたかな、と思っています!


    さて、今回は、アスベスト(石綿)についてお話したいと思います。

    最近よく耳にするアスベスト。体に悪いもので建物の解体作業が通常よりもオオゴトになる!!という印象は既にお持ちかもしれません。人体に悪いということは、科学的な人工物なのか、、、

    しかしながら、石綿というのは天然に存在する鉱物なのです。

    ●石綿とは
     アスベスト(石綿)とは、天然の鉱物一種で、これまで建材や断熱材などに主に建造物や船舶などに多く使用されていました。アスベストは非常に丈夫で耐熱性が高いため、建築材料としてさまざまな製品に使われましたが、空気中に浮遊した石綿の繊維を吸ってしまい肺に入ると、深刻な健康問題を引き起こすのです。

      

    ●体への影響

     

    肺がん: 石綿繊維を吸引すると、肺がんのリスクが高まります。石綿は肺に長期間残留するため、発症ま20年以上かかることもあるようです。
    中皮腫(ちゅうへいしゅ): 石綿繊維が原因で発生する悪性の腫瘍で、主に肺、腹膜、心膜に影響を与えます。石綿の吸引でしか見られない、非常に致死率の高い疾患です。また、潜伏期間が最も長く、30~40年といわれています。
    石綿肺: 石綿繊維が肺に蓄積し、慢性的な炎症を引き起こす疾患です。呼吸困難や咳、痰などの症状が現れます。

     石綿が原因の疾患は、潜伏期間が長期にわたることが特徴のようです。また、喫煙者の場合は致死率が10倍に跳ね上がります。

    ●法律はある??

    ◇労働安全衛生法

     労働者が石綿に曝露されることを防ぐため、労働安全衛生法では石綿を取り扱う際の基準や、職場での安全対策が定められています。
     石綿を使用する事業場では、作業環境の改善措置や適切な防護具の提供が義務付けられています。曝露限度(労働者が一日に曝露される最大許容濃度)を定め、これを超えないように管理します。石綿を取り扱う作業場所においては、換気装置や作業環境のモニタリングが義務付けられています。
     

    ◇アスベスト規制法(アスベスト障害防止法)

     2006年にアスベスト障害防止法が施行され、これによりアスベストの使用が段階的に禁止され、規制が強化されました。
    •  新規使用の禁止: 2006年10月1日より、新規にアスベストを使用することが禁止されました。
    • 既存使用の制限: 既存の建物や設備に使用されているアスベストは、適切な管理や処理が求められます。
    • 石綿の除去: 2006年以降、建築物などに使用されたアスベストは、専門の業者によって安全に除去しなければなりません。また、除去作業には許可が必要であり、作業の際には十分な安全措置が講じられます。

      ●どのような対策がなされているか、現場での工夫は?

      1. 作業前の調査と評価

       アスベストの存在確認: 作業を開始する前に、建物や施設内にアスベストが含まれているかどうかを確認するため、専門家による調査を行います。アスベストが存在する場合、どの部分にどのように含まれているかを特定し、適切な対策を立てます。

      2. 適切な作業服と保護具の着用


       防護服: アスベスト粉塵から身を守るため、耐アスベスト性のある防護服を着用します。呼吸保護具: アスベストの粉塵を吸い込まないよう、適切な呼吸用マスクを使用します。手袋やブーツ: 手袋や防塵ブーツを着用し、アスベスト粉塵が体に付着しないようにします。

      3. 封じ込め作業

       作業エリアを隔離し、アスベストの粉塵が外部に拡散しないようにします。作業場所の周囲にはバリアを設け、他の作業員や住民と隔離します。また、作業エリア内で負圧を維持し、空気が外に漏れないようにします。負圧状態を作るために換気設備を使用します。

      4. 湿式作業の実施

       アスベストの取り扱いには、湿式作業を取り入れることが効果的です。湿らせることで、粉塵が舞い上がるのを抑えることができます。水分を含ませた状態で取り扱うことで、アスベスト繊維が空気中に飛散するリスクを減らします。

      5. 廃棄物の適切な管理

       専用の廃棄物袋の使用: アスベストを取り扱った後の廃棄物は、専用の防水性のある袋や容器に入れて密封し、安全に廃棄します。袋や容器には「アスベスト含有物」のラベルを貼って、適切な処理が行えるようにします。アスベスト廃棄物は一般のゴミとは別に、アスベスト専用の処理施設で処理する必要もあります。

      6. 作業後の清掃

       作業が終了した後、使用した道具や防護服などを徹底的に清掃し、粉塵が残らないようにします。特に、掃除機はHEPAフィルター付きのものを使用して、微細なアスベスト粉塵も取り除きます。作業員自身の体や服も清掃し、アスベストが外部に持ち出されないようにします。

      7. 作業員の教育と訓練

       アスベスト取り扱いの際には、作業員に対する教育と訓練が必須です。正しい作業手順や保護具の使用方法を理解し、常に安全を最優先に考えるようにします。定期的に安全管理の見直しや再教育を行い、万全の体制で作業を進めます。

      8. 定期的な健康診断

       アスベストに関わる作業を行う従業員には、定期的な健康診断を実施し、早期に健康問題を発見できるようにします。特に呼吸器系の検査やX線検査が重要です。

       これらの対策を徹底的に実施することで、アスベストに関連する健康リスクを最小限に抑えることができます!

     

    最後に…

     アスベストといえば柱についたモコモコを想像される方も多いと思いますが、一見何の変哲もない、壁紙や石膏ボード、バーミキュライトなどにも含まれているのです。 そして調査委対象の2005年の禁止以前に建てられたS造やRC造の建物だけでも、数百万棟が残っており、これらの解体は差し迫っています。

     これまでの記述の通り、石綿は建材として多くのメリットがあり100年以上前から使用されてきましたが、人を苦しめる負の遺産でもあります。しかし、石綿は地球が生み出した天然の鉱物の一つで、蛇紋石や角閃石など身近な岩石に分類される美しい自然の産物でもあります。自然の物を人間の役に立てようとする際は、それがどんな影響を及ぼすのかしっかり見極める技術が求められます。私自身も物事を様々な側面から俯瞰できる人間になりたいと思います。


    ページ作成日 2025-04-24